起動時にパスワード入力が必要なこと以外、表面上は極めて普通のクリップボード拡張ソフトだ。つまり、暗号化や履歴の保存・読み込みといったことはまったく意識する必要がなく、自然に使うことができる。履歴や定型文のデータそのものは、フォルダ内にテキストファイルで保存されるが、内容は暗号化されており、テキストエディタなどで開いても判読はできない(詳しくは書かないが、パスワードも当然、暗号化保存されているようだ)。
履歴は暗号化されても、クリップボードにデータが残っていれば意味がないが、この点には自動クリア機能で対応。初期設定では15秒間隔で消去が実行されるが、好みに応じてカスタマイズすればよい。
定型文専用エディタ「PhraseEdit II」もパスワードでロックされるため、「『PhraseEdit II』でファイルが開かれて、定型文を読み取られる」といった心配はない。
「PhraseEdit II」を使用するたびに「Climie」自体が強制的に終了されてしまう(当然、次に使うためには起動とパスワード入力を求められる)のは面倒といえば面倒だが、履歴アイテムから直接、定型文に登録してしまえば、「PhraseEdit II」自体を使わないので手間もかからない。
残る心配はといえば、実際に「Climie」を操作している画面を覗き見されることだろうが、【Esc】キー一発で全履歴をクリアできるし、【Ctrl】+【2】でタスクトレイに格納することもできるので、状況に応じて使い分けるとよいだろう。
「SNSへのログオンやオンラインショッピング中の個人情報の入力などで手間を省きたいが、情報の漏洩が気になる」という方にはぴったりのソフトだ。
(福住 護)