想定プレイ時間8時間ほどの、手ごろなボリュームの中編アドベンチャーゲーム。シナリオはゲームの終盤までほぼ一本道。それまでのプレイヤーの選択でエンディングが分岐する。RPG形式のアドベンチャーゲームに分類され、ゲームの随所には戦闘も入るが、「ストーリーを読み進んでゆく」要素が強く、そういう意味では“ロールプレイングノベル”という表現はピッタリだ。
プレイヤーが選択肢を選ぶ機会は多く、選択肢の数と内容も充実している。「そんなもの絶対に選択しちゃダメだろう」というものも少なくないが、選択肢の文言やプレイヤーの選択に対するほかのキャラの反応は楽しい。プレイヤーの選択の繰り返しで主人公の性格などが決定され、メニューで確認できる仲間たちの情報が増えてゆく。
ただし、パッと見の明るい雰囲気とは裏腹に、ストーリーは重く、ダークな部分もあり、プレイヤーを選ぶかもしれない。何といっても主人公を含む四人がすべて落ちこぼれの問題児扱い。第二ヒロインのリカもいろいろとやらかしてくれる。
ひとつ要望を挙げるとすれば、物語最大の悪役を打ち負かすスキッとしたルートを──二周目以降でもよいので──ぜひ用意していただきたいということ。悪役キャラがしっかりと描かれているだけに、なおのこと強く願う。
(秋山 俊)