ストーリーと演出に凝った“力作”フリーシナリオRPG。RPGツクールVXで作成されているが、システムが細部に到るまで作り込まれ、パッと見、別のシステムに思えるほど手が加えられている。もちろん、戦闘中に表示されるモンスターなどのグラフィックはすべてオリジナル。街の中などで使用されているグラフィックもオリジナルの部分が多い。まず、この作り込みの点だけでも脱帽だ。グラフィックのクォリティも実に高い。「デパートのオモチャ売り場に並ぶオモチャの世界」というアイデアと、プロローグのストーリーや演出もおもしろい。ストーリーは、一時は酒浸りとなって落ちぶれた元ヒーロー人形が一念発起し、オモチャ売り場の中のさまざまな事件を解決してゆくという、ある意味で王道の展開だ。
戦闘などの難易度は、筆者がプレイした範囲ではやや低めに調整されているように感じられた。難易度の低いイベントから着実にクリアしてゆけば、特に問題はないだろう。だが、ザコキャラの強さは主人公たちのレベルに応じて変化するようで、無闇なレベル上げはかえってピンチを招く可能性がある。主人公の行動でルートが分岐し、複数のエンディングが用意されているのも楽しみだ。
(秋山 俊)